法隆寺…現在では世界最古の木造建築として有名です。
建てられた時代には諸説ありますが車も電気もない時代に建造され、
今日もその威厳を残しているのは驚かされるばかりです。一体どのような秘密があるのでしょうか。

使われている木材は特に強度の高いヒノキ。なんと千年経過しても強度はそれほど変わらないという。
もっとも古いものでは西暦600年以前の木材もあるとのことだ。

建造物維持の課題の一つとして災害…特に地震は我が国ではどうしても避けられない難敵である。
にもかかわらず法隆寺、特に五重塔は日本各地にあるが地震によって倒壊した記録は一度もない。
高い耐震性の理由は中心の心柱が各層の揺れを吸収する説、各層が緩くつながっており
地震が来ても蛇のようにくねくねと揺れてバランスをとるなどの説があるが未だ100%解明されていない。
それでも解明出来た技術は現代建築に活用されており「霞ヶ関ビル」はじめ世界各地で採用されている。

法隆寺を守り続けた職人たちも忘れてはならない。寺の近くに宮大工が住んでおり、
代々技術を受け継ぎながら点検や修繕を行っていた。
昭和の大修理では全ての木材を解体し傷んでいるものは差し替えて組みなおすという作業を約半世紀に渡り行った。
修理前の予想では「ほとんどの木材が傷んでおり差し替えなければならない」だったが
始めてみると予想以上に木材の状態がよく、風雨にさらされる部分以外は差し替える必要がなかったため、

最終的に大修理の費用を大きく抑えられたという。
千年以上にわたって継承された技術による点検や修繕を欠かさなかったからこその結果なのだろう。

法隆寺と同様に一般の住宅やビルも同じことなのかもしれない。
建物のメンテナンスを欠かさず行えば予想よりずっと長持ちするだろうし、
リノベーションの際にも費用を削減することにもつながるだろう。
温故知新という言葉のとおり、古きものには新しい発見があり、新たな技術のヒントを得られることがあるのです。